トップメッセージ

皆さまには、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
2024年度を振り返ると、日本経済は一部に弱めの動きが見られたものの、緩やかな回復を続けました。企業収益は改善傾向にあり、設備投資も増加しました。個人消費は物価上昇の影響が見られたものの、年度後半には実質賃金が上昇に転じたこともあって、底堅く推移しました。
当行グループの営業基盤である北陸地区においても、令和6年能登半島地震の影響は依然として残るものの、景気は緩やかに回復しています。
こうした状況を踏まえ、日本銀行は政策金利を7月に0.25%程度、1月に0.50%程度と段階的に引き上げました。これを受けて、当行も預金金利の引き上げを行うなど、金利のある世界に回帰しており、物価の上昇とともに銀行経営を取り巻く環境は大きく変化しています。
年明け後は、米国の関税政策により日本を含む世界各国の経済情勢、金融市場動向は不透明感が増しており、こうした動きが企業や家計に与える影響が懸念されるところです。
既述の通り、物価の上昇や金融政策の転換により、銀行経営を取り巻く環境は大きく変化しています。また脱炭素を巡る対応の進展や地域の深刻な人手不足など、目まぐるしく変化する経済環境や産業構造に対応するため、当行が対処すべき課題は一段と複雑化かつ高度化しています。
こうした環境のもと、当行は2023年6月に公表した「ファーストバンクVISION10」に基づき、お客さまファーストを徹底し、地域の成長の一翼を担い、すべてのステークホルダーの利益のために取組んでまいりました。
事業者の皆さまの多種多様な経営課題に対しては、資金繰り支援等のファイナンスとともに、各ビジネスステージに応じた最適なコンサルティングによって課題の解決に向けて積極かつ迅速に対応いたします。具体的には、持続可能な経営の実現に向けた経営計画の策定支援や伴走支援、お客さまの求めに応じた人材の紹介など、幅広く支援を強化してまいります。
個人のお客さまに対しては、最適な金融サービスを提供するため、お客さま向けの金融セミナーの開催や、金融資産形成のご提案からアフターフォローまで一貫したサポートを実践してまいります。また対面・非対面のベストミックスにより、一層の利便性向上に努めており、より高いレベルで「お客さま本位の業務運営」を実現してまいります。
ガバナンス面では、東証プライム上場企業に求められる中長期的な企業価値向上に向けた取り組みとして、当行の資本コストを踏まえた持続的な収益力の向上、適切な株主還元に努め、課題とされるPBR(株価純資産倍率)の早期改善を図ってまいります。
また完全子会社化したグループ3社を含め、当行グループ全体の効率化、シナジー効果の発揮、ダイナミックな業務範囲の拡大やグループガバナンスの強化を図ることにより、企業集団としての価値向上を実現してまいります。
当行の創立80周年にあたる2024年度は、思い切った株式売却益の計上により、大きく自己資本を積み上げてまいりました。その結果として、ファーストバンクVISION10に掲げた、1st STAGE(2023年4月~2028年3月)の計数目標は既にほぼ達成済みですが、2025年度は国内の金利上昇や金融市場の動揺に対処しつつも、積み上げた資本を原資に新たなリスクテイクを実現し、2nd STAGEに向けて、更に取り組みを強めてまいります。
株主ならびにお取引先の皆さまには、一層のご支援を賜りますよう心からお願い申し上げます。
2025年6月